10.字牌

 他家の手牌(待ち牌ではない)を読む上で、 もっとも簡単にできて、それなりに有効なものと言えば字牌の切り順に気を配ることです。
 それは、字牌の切り出しの順番でタンピン系なのか、染め手、七対子、国士なのか、 手牌構成をある程度絞ることができるからです。

 タンヤオを狙っているのであれば、役牌の重なりを期待して客風から切りだし、 自風、場風、三元牌と切り出していくことが多くなります。
 平和であれば、雀頭を意識するために(役牌は雀頭にならないため)、 自風、場風、三元牌の後から客風を切り出すことが多くなります。 もっとも平和狙いの場合に対子が複数ある場合は客風から切り飛ばすことになります。
 染め手であれば、染め色以外の数牌の後に字牌(もしくはファン牌)が、出てくることになりますし、 七対子の場合は、中張牌のバラ打ちから聴牌もしくは一向聴で字牌が出てくることが多くなります。
 もしくは、ヤオチュウ牌の切り出しから中張牌のばら打ちの後、聴牌間際で字牌やスジ牌、ワンチャンスの牌などが、 手出しで出てくることになります。
 国士であれば、字牌を含むヤオチュウ牌の切り出しが少なくなり、中張牌が多く切られることになります (国士はあまりにも、もろ分かりなんで注意するまでもないという気もするが念のため)

 もちろん、上記の手役の傾向以外にも分かることは多い。 ファン牌は早上がりを狙ったり、ドラ含みのときなどにはかなり貴重なものとなるので、 切り出す順目がどうしても遅くなりがちだ。 それは、早く場を回したいときやドラが対子のときに、 ファン牌の重なりを誰もが意識することからも明らかだ。
 それとは逆にファン牌の早切り(特にダブ東など)をしてくる場合は、 相当に手が早いか鳴きを意識していないことがわかる (もちろん、ファン牌が暗刻の場合もあるし、1つでも対子があれば十分だと考えている場合もあるだろうし、 鳴くとしてもクイタンだから先に切っただけかもしれないし、 三色や一通狙いからイヤイヤ鳴きに走る場合等々あるので一概にはそう決め付けることはできないのだが)
 また、字牌を抱えておき、聴牌したときに離すような人と卓を囲んでいる場合などには、 字牌が手出しで切られれば好形の一向聴か聴牌ということがわかる。

 これらのことは取るに足らないものかもしれないが、知らないよりも知っている方が余程良い。 他家の手牌構成がなんとなくでもわかれば、降りるべきか行くべきかの判断材料になるし、 あくまでも高めを追求した方が良いのか適当なところで妥協して上がりを拾いにいくのか等の判断がしやすくなる。
 他にも他家に対してキー牌をギリギリまで絞ったりすることだって可能だし、 自分の手が遅いときに他家にドラを鳴かせることによって、 他の2人の足を鈍らせることもできたりする(もちろん、大火傷を負うこともある)

 だが、これだけで待ち牌が読めるのか?と言えば、もちろんそれほど甘くはない (字牌の切り出しだけでは基本的に待ち牌を読むことは無理。当然のことだが)
 あくまで手牌の傾向を読む上で参考になるかもしれないといった程度である。 それに上記の例はあくまで初級者、初心者の捨て牌の傾向を言っただけなので、 全ての局面で当てはまるわけでもないし、 全ての人に対して有効な読みでないことは言うまでもない。
 それは中級者以上であれば、捨て牌になんらかの細工を仕掛けてくることが少なくないことを考えてみれば自明だ (一番顕著な例としては、少しでも打てる奴は七対子で初っ端から中張牌のバラ打ちなどしないということが上げられる)

 しかし、そうは言ってもある程度読みの参考になる以上、 字牌の切り出しに注意しないよりはした方が良いだろうし、 注意するからにはその意味を理解していた方が良いだろう。

 次回は待ち牌を読む上でもっとも簡単かつ最も重要な(だと私は思っている)ことについて、 お話したいと思う。

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