8.ナシナシ排撃論1

 ナシナシとは言うまでもなくクイタンなし、後付けなし(完全先付け)のことですが、 アリアリルール全盛と言って良い現在でも、採用している人は決して少なくありません。 もちろん、アリアリが好きな人はアリアリでやれば良いと思いますし、 ナシナシが好きな人も同様にナシナシでやれば良いとは思います。 しかし、ナシナシには致命的な欠点ともいうべき問題がいくつかあります。 そのひとつがナシナシはアリアリに比べて非常に揉めることが多いということです。 もちろん、クイタンの取り決めで揉める人はいませんから、 完全先付け(完先)の取り決めで揉めるということです。

 ※完全先付け・・・・・・確定している役がないと和了れないルール。

 なぜ完先の取り決めで揉めるのかと言えば、役が確定している状態というのが解釈の仕方によって変わってくるからです。 例えば下の手牌を和了れると主張する人もいますし、 和了れないと主張する人もいます。



 和了れるという人の主張は役がつくことが確定しているから和了れるということです。 一方、和了れないという人の主張は和了り役が白か中か確定していないので和了れないということです。 このような例は枚挙に暇がありません。 その代表的な例をいくつか挙げてみます。













 他にもツモの場合は符が付くからという理由で平和を認めていない場合には、 平和を和了ることが出来るのか? また、仮聴に構えていたらツモってしまったがツモのみのときは和了れるのか? 嶺上のみはどうなるのか。海底、河底、搶槓のみは和了れるのか?

 上に挙げたような手牌や状況のときに完先の解釈の仕方でナシナシはまず揉めます。 しかし、アリアリであれば上の例は全て問題なく和了れるので揉めることはありません。 もし、アリアリで揉めることがあるとしても、せいぜい槓についてくらいでしょう。 もっとも、槓についてはアリアリとナシナシで違いはありませんから、 アリアリで揉めるのだとすれば同じようにナシナシでも揉めるので、 アリアリの欠点ということにはならないでしょう。

 仮に揉めたのが麻雀を始める前のルールを決める段階であれば、 まだ良いのですが大抵揉めるのは対局中です。 そして、対局中に揉めたときというのはお互いの利害が絡んできますから、 自分に有利になるようにルールを解釈しようとします。 そうなれば中々問題が解決しませんし、仮に解決したとしてもしこりを残すことになります。

 また、このような揉め事は1度だけではなく何度でも起きます。 そうすると前回は相手の主張を受け入れたんだから、 今回は俺の意見を受け入れろよなどと言う人が必ずいます。 そして、言われた側は前回は自分の主張を認めてもらったんだから、 今回は譲らないと拙いかなと思って自説を引っ込めるなんてことは良くあることです。

 しかし、そんなことを繰り返していればどういったことになるのかお分かりでしょう。 一貫性のない場当たり的なルールになってしまいます。 つまり、特定の面子以外は全く理解できないか分からない例外ばかりのルールになってしまうのです。 ですから、他の面子と卓を囲むときはまたルールの取り決めから始めることになります。 しかし、十分ルールを詰めたつもりになっても、事が和了りに関することなのでまず間違いなく揉めます。 ルールを決めるのに時間を取られたり、麻雀本来の面白さとは関係のないところで揉めるのは実にバカバカしいです。

 ですから、すぐに楽しく麻雀をやるためにもナシナシではなくアリアリを採用した方が良いと思います。 もし、どうしてもナシナシでやるというのであればくどいくらいにルールを決めておいてなお、 ある程度の揉め事を覚悟してから始めるのが良いでしょう。

 というのが人に説明するときの理由なのですが、最大の理由は他にあります。 それは次回に書きたいと思います。

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