12.手役を追え5

 前回の続きですが、なぜ6,7萬を引いた場合は三色を狙わずに聴牌を維持した方がよいのでしょうか。 それぞれを比較してみたいと思います(ただし、裏ドラ、一発等は考慮しない)


まず聴牌を維持した場合ですが、
1萬ロン・・・1,000点×4/8×3/4=375点
1萬ツモ・・・1,500点×4/8×1/4=187.5点
4萬ロン・・・2,000点×4/8×3/4=750点
4萬ツモ・・・2,700点×4/8×1/4=337.5点

和了牌数が8牌で期待値は1,650点となります。

一方、リーチをかけた場合は、
1萬ロン・・・2,000点×4/8×3/4=750点
1萬ツモ・・・2,700点×4/8×1/4=337.5点
4萬ロン・・・3,900点×4/8×3/4=1462.5点
4萬ツモ・・・5,200点×4/8×1/4=650点

和了牌数が8牌で期待値は3,200点となります。


6萬を引いて聴牌を崩した場合
4萬を引いてダマの場合
5萬ロン・・・1,300点×4/24×3/4=162.5点
5萬ツモ・・・2,000点×4/24×1/4= 83.3点

5萬を引いてダマの場合
4萬ロン・・・2,000点×4/24×3/4=250点
4萬ツモ・・・2,700点×4/24×1/4=112.5点
7萬ロン・・・7,700点×4/24×3/4=962.5点
7萬ツモ・・・8,000点×4/24×1/4=333.3点

7萬を引いてダマの場合
8萬ロン・・・2,000点×4/24×3/4=250点
8萬ツモ・・・2,700点×4/24×1/4=112.5点
5萬ロン・・・7,700点×4/24×3/4=962.5点
5萬ツモ・・・8,000点×4/24×1/4=333.3点

8萬を引いてダマの場合
7萬ロン・・・1,300点×4/24×3/4=162.5点
7萬ツモ・・・2,000点×4/24×1/4=83.3点

和了牌数が平均6牌で期待値は3808.2点となります。


6萬を引いて聴牌を崩した場合
4萬を引いてリーチの場合
5萬ロン・・・2,600点×4/24×3/4=325点
5萬ツモ・・・3,900点×4/24×1/4=162.5点

5萬を引いてリーチの場合
4萬ロン・・・ 3,900点×4/24×3/4=487.5点
4萬ツモ・・・ 5,200点×4/24×1/4=216.6点
7萬ロン・・・ 8,000点×4/24×3/4=1000点
7萬ツモ・・・12,000点×4/24×1/4=500点

7萬を引いてリーチの場合
4萬ロン・・・ 3,900点×4/24×3/4=487.5点
4萬ツモ・・・ 5,200点×4/24×1/4=216.6点
7萬ロン・・・ 8,000点×4/24×3/4=1000点
7萬ツモ・・・12,000点×4/24×1/4=500点

8萬を引いてリーチの場合
5萬ロン・・・2,600点×4/24×3/4=325点
5萬ツモ・・・3,900点×4/24×1/4=162.5点

和了牌数が平均6牌で期待値は5383.2点となります。


7萬を引いて聴牌を崩した場合
5萬引きでダマの場合
6萬ロン・・・5,200点×4/24×3/4=650点
6萬ツモ・・・8,000点×4/24×1/4=333.3点

6萬引きでダマの場合
5萬ロン・・・7,700点×4/24×3/4=962.5点
5萬ツモ・・・8,000点×4/24×1/4=333.3点
8萬ロン・・・2,000点×4/24×3/4=250点
8萬ツモ・・・2,700点×4/24×1/4=112.5点

8萬引きでダマの場合
6萬ロン・・・2,000点×4/24×3/4=250点
6萬ツモ・・・2,700点×4/24×1/4=112.5点
9萬ロン・・・1,000点×4/24×3/4=125点
9萬ツモ・・・1,500点×4/24×1/4=62.5点

9萬引きでダマの場合
8萬ロン・・・0点×4/24×3/4=0点
8萬ツモ・・・1,000点×4/24×1/4=41.6点

和了牌数が平均6牌で期待値は3233.2点となります。


7萬を引いて聴牌を崩した場合
5萬引きでリーチの場合
6萬ロン・・・8,000点×4/24×3/4=1,000点
6萬ツモ・・・8,000点×4/24×1/4=333.3点

6萬引きでリーチの場合
5萬ロン・・・8,000点×4/24×3/4=1,000点
5萬ツモ・・・12,000点×4/24×1/4=500点
8萬ロン・・・3,900点×4/24×3/4=487.5点
8萬ツモ・・・5,200点×4/24×1/4=216.6点

8萬引きでリーチの場合
6萬ロン・・・3,900点×4/24×3/4=487.5点
6萬ツモ・・・5,200点×4/24×1/4=216.6点
9萬ロン・・・2,000点×4/24×3/4=250点
9萬ツモ・・・2,700点×4/24×1/4=112.5点

9萬引きでリーチの場合
8萬ロン・・・1,300点×4/24×3/4=162.5点
8萬ツモ・・・2,000点×4/24×1/4=83.3点

和了牌数が平均6牌で期待値は4849.8点となります。


 上記を比較すると三色目を狙った方が期待値が約2倍も高いので優っているように思われるかもしれません。 しかし、これは上がったときの期待値(和了る確率とは関係ない)ですので、これだけではどちらが有利か判断できません。 どちらの方が有利であるかを判断するためには、 聴牌するための有効牌の牌数と聴牌する順目を比較する必要があります。

 まずは、聴牌するための牌数ですが、6萬、7萬共に16牌(シャボ待ち、単騎待ちを含めると21牌)になります。 これではいかにも少ない。 それではと聴牌枚数を増やすために23萬の塔子を落としきり、 6筒などを引いてくれば聴牌する可能性は飛躍的に上がりますが、 三色以外での聴牌を意識するくらいなら初めから14萬待ちの聴牌にとっておけば良いということになります。

 また、肝心の三色になる確率(和了れた場合に三色となる確率、以降同様)は6萬引きで一向聴に戻していた場合は、
7萬引き聴牌(1/4)×5萬和了(1/2)=1/8
5萬引き聴牌(1/4)×7萬和了(1/2)=1/8
で、1/4になります(振聴は考慮しない)

 もう一方の7萬引きで一向聴に戻した場合は、
6萬引き聴牌(1/4)×5萬和了(1/2)=1/8
5萬引き聴牌(1/4)×6萬和了(1/1)=1/4
で、3/8になります。

 つまり、せっかく聴牌を崩したにも関わらず、 狙い通り三色になるのは半分以下ということです。 確率が1/4のだろうが3/8だろうが、成功したときの破壊力はかなりのものですから、 狙うだけの価値はありそうですが聴牌するまでの順目がかなり問題となってきます。

 その問題の聴牌するまでの順目ですが、 仮に手牌以外の牌が全て見えてないとすると16/120の確率で有効牌を引くことになります。 これは平均7.5順で聴牌しなおすことを意味しています。 逆に言えばこれは7順聴牌しないということを意味します (もちろん、1順で聴牌しなおすときもあれば、聴牌せずに流局することもあることは言うまでもないでしょう)

 流局したとしてもツモ回数は18回、鳴きの関係で増えたとしても19回程度であることを考えれば非常に大きい数字だと言えます。 まして、このような形になる場合というのは多くは中盤であることを考えると、 聴牌しなおすときは終盤ということになります。 仮に8順目にこの手牌で聴牌を崩したとしたら、15順目前後まで聴牌しないことになります (あくまでもそういうことが多いと思われるということです) 15順目に聴牌し直したとしても和了りの機会はたったの2,3順ということになります。

 8順目で14萬待ちの聴牌にとったときは和了れる機会が10順あるのと比較すると1/3程度しか和了りの機会がないことになります。 和了り時の期待値が2倍になっても和了る確率が1/3になってしまうのでは、 結局は和了り全体に対しての期待値を1/3程度押し下げていることになります。 また、他家に対して和了りの機会を余計に与えているわけですから、 単に和了りの期待値を押し下げているだけではなく、 失点に対しての期待値を押し上げていることになります (実際はこれほど単純に比較するわけにはいきませんが、 ある程度の目安になるのではないかと思います)

 つまり、今回のように聴牌を崩して和了時の期待値を増やそうとすることは、 失点の期待値を押し上げることにもなるので、かなりの危険が伴うことを覚悟しなければいけないということになります。 しかも、高めを追求しても理想通りにならないことの方が多いので非常に分が悪いと言えます。

 それならば、最初の聴牌形でリーチを掛け、一発、裏ドラ等に賭けた方がより現実的だと言えます。 ですから、今回のように出和了りのきく聴牌、 特に2翻以上(高め低めがあるにしても)ある場合は聴牌を崩すことは極力避けた方が良いでしょう。

 もっとも、今回言いたかったことは、高めを追求するなということではもちろんなく、 高めを追求することによって得られるものとそれによって失うものをよく考えて選択することが重要だということです。 確かに高めを追求し期待通りの和了りが出来たときというのは、 非常に嬉しいものですし巧くなったような気がしますが、 必要もないのにロマンを求めて手役を追うことは関心できません。

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