盲牌

 回りに麻雀打てる奴がいないと愚痴っていた大学時代の友人から久しぶりに電話が掛かってきた。

友人(以下:友)「今日さ、めちゃくちゃ巧いって自分で言ってる奴と麻雀打ったんだけどさ・・・」
俺様(以下:俺)「おっ、良かったじゃん」
友「それが全然よくないんだよ」
俺「なんだ?また負けたのか?もしかして、負け犬くん?はっはっは」
友「ムッ。負けてねぇーよ。勝ち頭だよ」
俺「じゃぁ、いいじゃん」
友「だから、勝ち負けじゃないんだよ」
俺「じゃあ何だよ」
友「先ヅモってあるだろ?」
俺「あるね」
友「当然、禁止なんだけどさ」
俺「ああ」
友「でも、先盲牌はありなんだよ」
俺「あっ?」
友「だから、先盲牌!」
俺「サキモウパイ?」
友「そう、先盲牌。先に見るのはだめだけど、先に盲牌するのはオッケー・・・ってことらしい」
俺「世間ではそれを先ヅモというのでは?」
友「まぁそうなんだけどさ」
俺「ってことは盲牌できない奴がいたってことか」
友「よくわかったな」
俺「そりゃな。で、言い出した奴は盲牌できると」
友「いや」
俺「ん?」
友「できなかった」
俺「あん?」
友「だから、盲牌できねぇーの。そいつは」
俺「・・・・・・意味わからん」
友「バカ?」
俺「そりゃおまえだろ?」

申し訳ありませんが、以下お見苦しい会話が続きますので割愛させて頂きます。

俺「まぁいいや。で、なんでそいつは盲牌できないのに先盲牌OKとか言ってんの?」
友「いや、本人はできるつもりだから」
俺「・・・・・・電波?」
友「違うだろ?」
俺「実はどっかの病院から抜け出してきたんだろ?早く知らせたほうがいいぞ?」
友「働いてるって言ってたし、さすがにそれはないだろ?」
俺「だから、それがすでに妄想なんだよ」
友「結構しつこいな」
俺「俺はしつこいのが信条だ」
友「・・・・・・」
俺「はいはい。ごめんごめん。で?」
友「だから、盲牌できないのにグリグリやって唸ってるんだよ」
俺「じゃ、あれか。5萬とか言って河に捨てると盲牌ミスで実は4萬とかいう奴か」
友「そんな高等な間違いじゃねぇーよ。9萬って叫んで捨てたら何だったと思う?」
俺「9萬だろ?」
友「だからぁ」
俺「はいはい。んじゃ8萬あたりか?」
友「東」
俺「はぁ?」
友「だから、東」
俺「全然、違うじゃん。どうやったら、字牌と萬子を間違えられるんだよ」
友「俺に言うなよ」
俺「それにしてもそいつ、たいがい酷いな」
友「あめぇーよ。これくらいで驚いてたら」
俺「あっ?」
友「まだまだ、序の口。それじゃさ、北って言って牌を開けたら何だったと思うよ?」
俺「春」
友「花牌なんか入ってねぇーよ」
俺「んじゃ、夏」
友「だから、花牌は入ってねぇーつーの」
俺「おい、まさか実は紙麻雀でしたとかってオチじゃないだろーな?」
友「ちげぇーよ。本物の麻雀牌」
俺「じゃ、そいつは何か?筒子と索子しか盲牌できないのに盲牌できるとか言っちゃってんのか」
友「おまえは奴を見くびりすぎてる」
俺「うわっ。じゃぁ、索子だけかよ」
友「そんなもんじゃない」
俺「それじゃ、あれか。2索と中って似てるよなとか言って間違えちゃうくちか」
友「それならまだ理解できる」
俺「理解できるのかよ」
友「白って言って開けたら何だったと思う?」
俺「・・・・・・さすがに・・・・・・白だよな?」
友「1筒だったよ」
俺「・・・・・・」
友「・・・・・・」
俺「なぁ?」
友「なんだ」
俺「そいつ自分で巧いって言ってたんだろ?」
友「言ってた」
俺「本当に巧かったのか?」
友「言わなくても分かるだろ?」


今回の教訓:トンデモくんは意外と身近にいるもんだ
 別に盲牌できるから巧い、できないから下手だなんて言うつもりは全然ないけど、 できると言うからには盲牌ミスする牌はせめて2,3種類くらいにしときましょう。 あんまり間違えるとかなり恥ずかしいですから。見てるこっちが。 まっ、ここまで酷い奴もめずらしいけど、 自分で上級者とか言っちゃってる痛い奴のほとんどはこんな奴だったりするのは事実だったりする。 それじゃ、自分で下手だと言ってる奴が上手いのかといえば、 やはりどうしようもないくらい下手だったりするので世の中って難しい。

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