12.柔軟性

 今回の話は攻撃編にするか守備編にするかでちょっと迷ったんですけど、 守備的要素がかなり高いのではないかということで守備編にしてみました。

 まず、下の手牌を見てください。5萬か8萬を切れば聴牌ですが、 どちらを切って聴牌に構えますか?



 期待値を考えれば一盃口を睨んでの5萬切りで問題ないように思われます。 8萬を切っても得点の上では何も良いことはありませんからね。 しかし、本当に常に5萬切りで良いのでしょうか。 少なくとも得点よりも早和了りに重点を置いた局などでは、 一盃口を意識し5萬を切るようでは拙いのではないかというのが今回の話です。

 もちろん、リーチをかけるのであれば5萬切りで特に問題はないと思います。 しかし、守備重視、早和了り重視の局面であればリーチをするのは大問題ですので、 ダマ聴にとることを前提にして話を進めます。

※8萬を切ることによってワンチャンスを作り出し、 9萬で討ち取ってやるという考えもあるとは思いますが、 その話はまた別の機会にしたいと思います。

 まず、5萬切りと8萬切りで手牌の変化について考えてみます。 5萬切り聴牌での変化形と言えば78萬4索引きでシャボ待ちへの変化くらいでしょう。 しかし、8萬切り聴牌の変化形は4萬引きで369萬待ちの3面張、 3萬引きで嵌4萬待ち、7萬引きで47萬4索待ち、58萬引きで4索とのシャボ待ち、 4索引きでの58萬待ちか47萬待ちなど変化に富んでいます。

 これは8萬切りの方が手牌が柔軟であるということです。 手牌が柔軟であるということは受けに回ったときに手牌が崩れ難いというメリットがあります。 具体的な例を上げてみてみましょう。

 まず、他家に本命47萬待ちのリーチが入ったとしましょう。 そのときに4萬を引いたとしたらどうでしょうか。 5萬切りで聴牌をとっていたら、聴牌を維持するためには危険を承知で4萬を切るか、 4索切りでベタオリ気味に回すしかないでしょう。 しかし、8萬切りで聴牌をとっていた場合であれば、 多少待ちが悪くなるとは言っても8萬を切って聴牌を維持しておけます。

 また、7萬引きについてもほとんど同じことが言えます。 5萬切りで聴牌をとった場合は6萬切りで8萬4索のシャボ待ちに取るか、 8萬切りで中膨れの7萬4索のシャボ待ちにとることになるのでちょっと苦しい。 しかし、8萬切りで聴牌をとった場合であれば47萬4索待ちの変則3面張になり、 待ちとしても面白いので特に不満もないでしょう。

 次に36萬待ちが本命のリーチが掛かり3萬を引いた場合はどうでしょうか。 5萬切りの場合はもちろん聴牌を維持出来ません。 再聴牌も3萬のくっつき聴牌を期待する以外になく、4萬引きの再聴牌は振聴になってしまいます。 しかし、8萬切りで聴牌をとっていれば7萬切りで問題ありません。 もちろん、待ちは嵌4萬になり多少苦しくなりますが、ベタオリするより遥かにマシというものです。

 以上のことから、手牌に柔軟性を持たせるとベタオリすることが減り、 打ち回しやすくなるということがお分かり頂けたと思います。 つまり、守備重視の場面では手役がつく可能性を多少減らすことになっても、 手牌に柔軟性を持たせる方がより良いということです。

 また、他家のことを無視して単純に手牌だけを考えても4萬引きでの3面張があるのですから、 守備重視・早和了り重視であるのなら8萬切りで聴牌をとるべきでしょう。

 不要牌の選択は期待値や牌効率が基本になりますが、 それだけを判断材料にしているようではなかなか勝てません。 局毎に合った打ち方をすることが勝ちきるためには必要です。

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