ポン、チー以外は何もしゃべらなかったおっさんが突然、
本当にもう突然としかいいようがないくらいに唐突に
ドラの4筒を切りながら、ボソッとつぶやいた。
『あ〜ぁ、こんなに早くドラを切っちゃっていいのかなぁ〜』
はぁ?!あんた何言ってるの?
もしかして、頭のネジが緩んでる?
それともこれが噂に聞く三味線って奴ですかい?
っつぅーかよ、三味線になってねぇーよ、おっさん?
てめぇーの待ち牌バラしてどぉーすんだよ。
頭悪すぎるんじゃねぇーの?
それとも頭悪いフリしてるだけかい?
これだけでも十分過ぎるほどビックリしているというのに、
数順後リーチをかけながら、
『あ〜ぁ、やっぱりあんなに早くドラを切ったのは失敗だったかなぁ』
ときたもんだ。
久しぶりに真性のバカを見たよ。
もう、完全無欠の完璧絶対バカ・・・・・
手術したところで、到底治療不可の不治の病・・・・
本当に頭があるのかどうか疑いたくなるぜ。
おっと、かぶったまんまだから、頭がどこにあるかは他人にはわからないか。はっはっは。
しかし、なんでそんなに馬鹿の看板ぶら下げたいの?
俺には一生そんな気持ち理解できそうにねぇーや、わりぃーけど。
もし、最初の台詞だけなら、なんだよおっさんドラ面子完成しちまったのかよ?残念だったな?
なんてことを考えて好形の一向聴や聴牌にでもなったら、
飛び出したかもしれないのによ。
トドメの台詞を言っちまうもんだから、またぎ筋なんて死んでも切れなくなっちまったよ。
どうせ弾くならもうちょっと頭使っとけよ?
それとも馬鹿のフリして実は全然関係ないところで待ってるとか?
確かに、それならちょっとはマシかもな。
でもなぁ、こいつの馬鹿さ加減は本性丸出しっていうのが、見え見えだからそんな可能性は完全完璧にない。
もっとも、いくら三味線で頭使ってもてめぇーが屑であることには変わりはないんだけどな。
なんてことを考えてたら、下家の20歳くらいの素直そうな学生さんが聞いてきた。
『どうかしたんですか?』
おいおい、どうかしてるだろ?
こんな馬鹿みてもあんた何も思わないわけ?
それとも、見慣れてるってこと?
俺は生まれてはじめて三味線(恐ろしいことに本人はそのつもりだ)を弾く奴を見たけど。
しかし、世の中そんなに頭の悪いクズっているのかよ?
どう考えてもそんなにいるとは思えない。
ってことは信じられないことではあるが、
この素直そうな学生さんは見たまんま素直でいい奴なんだろーな。
実際に数順後に悩みながらも2筒を切り飛ばしてるしさ。
うーん。これにもちょっと俺はビックリだ。
まだ、こんな初心で素直な奴が世の中にいたのか・・・・・・・・
悩んだってことはちょっとは怪しいって疑ったことになるんだろーけどよ、すげー度胸あるね。
50%の確率でぶち当たるんだぜ?
しかも、こんなアホに打ち込んだりしたら、くそむかつくだろーが。
ってわけで俺なら絶対に切らねぇー。
しかし、聴牌になったわけでもなんでもなく2筒を切り出したんだってことが数順後にわかった。
何しろ次から次へと手出しで出てくる。
うーん。さすがにこれで全部が全部空切りということはないよな。
ってことはだ。恐ろしいことだが、こいつは単純に要らないから切り飛ばしたってことだよな。
こりゃ、3筒が出るのも時間の問題かと思ったら、流局直前に3筒を切って当たっちまった。
しかも、振り込んだ後にチェッとか言ってるし・・・・・
あんた、2筒さえ残しておけば14筒で聴牌維持できたんじゃねぇーの?まぁ、いいんだけどさ。
しかし、そのときのおっさんの顔と言ったら、
『どうだ。俺の三味線は無敵だぜぇ』ってな笑顔だったよ。
まぁ、確かに屑にお似合いの笑顔だったな。
もちろん、この学生さんを馬鹿にするつもりはないが、
それでも馬鹿正直すぎるとは思わずにはいられないよな。
いや、もちろん、悪い奴だとは思わないんだけさ。愛すべき奴だとも思うけどさ。
人がいいと言えばそうかもしれないが、そういった人がサマや三味をやる人間を増長させているとも言える。
それじゃ、どちらのタイプに非があるのかと言えば、もちろん三味を平気で吹ける奴の方が大問題なんだけど、
こういった連中を懲らしめることっていうのは実は結構難しい。
目には目をとばかりに三味線で対抗してもどうせ出すのは下家の学生さんみたいな素直な奴だろうし、
そんなことになったら、こっちの寝覚めが悪くなっちまう。
何しろ、こっちは良識とか良心、誇りなんていうものがしっかり、きっちりあるからな。
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なんだよ?俺だって一応人並みにそういったもん持ち合わせてるんだぜ?自分で言ってても胡散臭さ全開だけどさ。
しかし、なんだかんだ言ってこのおっさんはラス、3着攻勢だったから俺にとっちゃおいしいお客さんだったんだけど、
まぁ打ってて気分のいい相手じゃないよな。
まぁ、実力のない奴っていうのはすぐにパッと見、楽な方法に逃げようとするけどよ、
結局実力がないもんだから底が浅いんだよな。
それですぐにメッキが剥がれるというか、メッキが剥がれっぱなしだっていうことに気づかない。
まったく、どうしようもない人種ではある。
というわけで、今回言いたかったことは、
本当の実力がある人間は三味線やサマはしねぇーんだよ!!
いや、する必要がねぇーんだよってことだ。
実力があれば、三味線を弾かなくても、サマをしなくても勝てるんだよ。
それとも三味線を弾くのは楽に勝つためだとか、勝ちをより確実なものにするためだとか言ってみる?
そうそう、今俺が言ったことはちょっと間違ってたね。
ごめんごめん。謝っとくわ。
実力があれば、三味線を弾かなくても、サマをしなくても楽に確実に勝てるんだよ。はははのはー。
大体そんなことをするってことは腕だけではなく、
根性まで腐りきっているってことを他人にも宣伝してまわっているってことになるとは気づかないのかね。
おっと、失礼。
そういったことに気づくくらいの頭があったら、三味など吹かねぇーよな。はっはっは。
もっとも、腕だけじゃなく、根性まで腐っている奴っていうのは、
1万人に1人いるかどうかわからないくらいの少数だとは思うから、
今回のことはほとんどの人に役に立たないと思うんだけどね。
っていうより、そういう屑には何を言っても無駄なので、
今回の話はまるっきりの無駄だということはしっかり自覚してるんだけさ。
それと三味線を弾く奴に出会ったのはそれが最初で最後なのは俺って結構ついてるのかもな(笑