前回、前々回とタイトルとは違い手役を追うことを否定するようなことを書いてしまったので、
今回は正真正銘手役を追った方が良いというお話です。
上記の手牌で聴牌していたところに2萬を引いた場合、何を切るのが良いでしょうか。
25索待ちの聴牌を維持し手変わりを待つのも、リーチにいくのも状況によっては悪くないとは思いますが、
基本的には1萬を切るのが良いでしょう。
1萬を切った後の手牌は下記のようになります。
では、なぜ2萬ツモ切りよりも1萬を切った方が良いのか理由を挙げようと思います。
まず、上記の手牌の有効牌を調べてみましょう。
ただ聴牌すれば良いということであれば、12345678萬、1234567索の15種49牌が有効牌になります。
しかし、ただ聴牌すれば良いということではなんのために一向聴に戻したのかわかりません。
ましてや1萬引きで聴牌をとるようではまったく意味がありません。
そこで再聴牌したときに得点と待ちで十分満足できるという意味での有効牌について考えてみると、
245678萬、12346索の11種36牌になります。
具体的にどの程度の役と待ちが望めるのか見てみましょう。
まず萬子については下記のようになります。
2萬引きは振聴とはいえ14736萬の5面張で平和かタンヤオが必ずつき三色目もあるので十分形だといえます。
4萬引きはタンピンが確定し、高め三色が狙えるのでこれも十分。
5萬引きはタンピン三色が確定の満貫級で理想的な引きです。
6萬引きは待ちこそジャボですが、タンヤオ三色が確定しているので十分形です。
7萬引きであればタンピン確定の3面張で高め三色になりますので理想的な聴牌形のひとつです。
8萬引きは待ちこそ嵌張ですがタンヤオ三色が確定しているので十分形です。
次に索子について見てます。
1索引きは平和が確定しているだけですが、高め三色ですので聴牌を崩しただけの価値はあります。
2索引きは6萬引きと同様にシャボ待ちですが、タンヤオ三色が確定しているので十分。
3索引きはピンフ三色が確定し、高めでタンヤオがつき理想的な再聴牌。
4索引きはタンピンが確定し、高め三色なのでこれも十分形です。
6索引きは三色こそ崩れますが3面張の好形で高めタンヤオが狙えるので十分形です。
役なし聴牌を上記のような手牌に持っていければ一向聴に戻すだけの価値はあります。
また、再聴牌までかかる順目の目安は36/122(≒3.38)で平均3,4順ということになり、
一向聴に戻してから聴牌になるまでにそれほどの順目がかかりませんので、
和了りを逃して相手にチャンスを与えるということも少なそうです。
何より出和了りもきかない安手に固執して満貫、ハネ満級の和了りを逃すのは非常に惜しいです。
また望んでいる有効牌から外した3萬、57索ですが、
3種とも出和了りができるし手変わりが望めるので実はそれほど悪い聴牌ではありません。
3萬であれば、23萬のシャボ待ちですが、45678萬を引けば三色目がでますし、
23萬をツモった場合に不満であれば振聴にかまえることも出来ます。
5索はタンヤオのみですが12346索引きで三色目への手変わりを期待できるのでまずますです。
7索もタンヤオのみですが12345索引きで三色目への手変わりを期待できるので悪くありません。
それに役なしの聴牌に比べればかなり良いと言えるでしょう。
そしてこの一向聴戻しは序盤、中盤だけに有効なのではなく、終盤においても有効です。
なぜなら有効牌が多いので終盤に聴牌を崩したとしても再聴牌が比較的容易だからです。
以上で2萬切りの有効性の説明は終わりですが、
なかには聴牌維持しても手変わりが望めるので手牌を崩したくない人もいるかと思います。
確かに1萬なら平和の3面張、47萬ならタンヤオか3面張、
35筒34索引きであれば平和が出来ます。
そして、36萬引きで三色が狙えます。
しかし、最高の手変わりであるはずの3萬引きでも三色以外に重複する役がなく、
6萬引きは高め三色ですが、確定しているのは平和だけでは不満が残ります。
仮に手変わりしたとしても破壊力で1萬切りに全く及ばないうえに、
唯一のメリットである聴牌が役なしの安手では聴牌の維持にそれほどの魅力はないということです。
以上の説明で最初のような手牌に2萬を引いた場合は、
一向聴に戻した方が分が良いということを分かっていただけたと思います。
ちなみに今回の手牌と前回、前々回の手牌の違いは、
聴牌を崩したときの有効牌の数と聴牌していたときに役があるのかという2点です。
この2点に注目すれば一向聴に戻した方が良いのかどうかの目安になるでしょう。